『はじめの一歩』1079話 一歩と鷹村の川原での会話

一歩「鷹村さーーんっペース速いです 追いつけません」

鷹村「いーよついてこなくて 邪魔すんなって言ったろうが」

一歩「そういうワケにいきませんよ 付き人に任命されましたから」

鷹村「しかたねえなあ 休憩だ」

 

一歩「一つ聞いていいですか?」

鷹村「あ?」

一歩「ゴンザレスさんとの試合 何度も何度も観直しました

   その口調で気づきました

   鷹村さんはわかっているんですよね?」

鷹村「何がよ?」

一歩「・・・・ボクの敗因です・・・・

   ボクは-

   弱くなりましたか?」

鷹村「自分が一番よくわかっているだろ?

   会長(じじい)に・・・・

   言い訳は無いと説明していたじゃねえか それでいいよ」

一歩「あ・・・・はい

   KO敗けで・・・・完敗でしたから」

鷹村「潔い言葉を選んだつもりだろうな

   だがな-

   会長(じじい)は傷ついたよ」

一歩「え? ?」

  (-なぜ? どうして-!?)

一歩「どうしてですか?会長が傷つくだなんて

   どうしてですか!?」

鷹村「・・・・たぶんきっと会長(じじい)は-

   言い訳をしてほしかった」

一歩「で でもKO敗けですよ?完敗ですよ?言い訳なんかしたら・・・・」

鷹村「見苦しいコトを言うと怒るだろうな

   潔くないと顔をしかめるだろうな」

一歩「そ その通りだと思います」

鷹村「怒りたかったハズなんだよ

   せめて説教くらいさせてやりゃよかったんだ」

一歩「? ?

   わかりません 鷹村さんの言っている言葉の意味がわかりません」

鷹村「認めちまったら終わりだろ

   あの時アレをもらわなかったら 自分の拳が先に届いていたら

   小せえコトでいいから見つけてウジウジ言うべきなんだよ」

一歩「だ だからそれは 怒られますよ・・・・」

鷹村「そりゃあ怒るよ

   バシバシ叩いてくるかもしれねえ

   嬉しくてな

   見苦しくていい 卑しくていい 図々しくていい

   どんなにみっともなくてもいい

   自分はまだ負けていない もう一度やれば勝てる

   ジタバタしやがれ

   元々小物なのになぜそれくらい言えねえ?

   無敵のオレ様には縁の無い言葉だがな」

一歩「む・・・・

   無理ですよっ言えません!

   失神KO負けなんですよ? これ以上ない決着です

   もう一度やればなんて・・・・

   ゴンザレスさんは強かったです もう一度やっても・・・・」

鷹村「認めた時は終わる時だ

   もう一度立ち上がるなら男には-

   言い訳が必要だろ

   言い訳の無い男は一区切りついた証拠だ

   その時点でさっぱりしちまってる

   みっともない姿晒してもボクシングにしがみつこうとするヤツには

   まだ火種が残っている 熱がある

   長くこの世界を観てきた会長(じじい)はそう判断するはずだ」

一歩(一区切り・・・・)

 

鷹村「・・・・まあしかし お前はよくやった

   ここで(木を殴る)

   こうして(落ちた葉を捉える)

   懐かしいぜ

   あの時の小僧が日本王者になるなんて夢にも思わなかった

   お前はよくやった 実は本当に感心しているんだぜ」

一歩「・・・・・・・・」

鷹村「-だから

   もういい 無理するな」

一歩「い いやボクシングは続けようと」

鷹村「続けろよ スポーツで」

一歩「!」

鷹村「強くなりたかったんだろ?

   夢は叶った 日本王者で十分じゃねえか

   この先は無理するな

   お前は限界までよく頑張った ご苦労さん

   -だがな 自分がどこまで通用するだろう そんなノリで入ってくるな」

   (地面に線を引く鷹村)

一歩(限界・・・・?)

鷹村「この線から先は世界だ

   踏み越えるな

   スポーツライクなノリで日本王者になれた

   それで満足しろ

   興味半分で踏み越えていたずらに夢を見せるんじゃねぇよ」

   (振り返り走り去ろうとする鷹村)

一歩「どういうコトですか!?全然わかりませんっ

   夢を見せる?何のコトですか!?誰にですか!?」

   (追いかけようとする一歩)

鷹村「越えるなと言ったろう」

  (立ち止まる一歩)

鷹村「越えれば死ぬ

   そこから先は-

   人外のものだけが棲む場所だ

   人のまま入ってくるな

   あばよ一歩

   オレ様はちょっくら

   行ってくらあ」

一歩「鷹村さん

   ボクも・・・・」

  (・・・・・・・・)

  (立ち尽くす一歩)