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希望 第四話「卒業」

 卒業式が終わって、教室へ向かう人の流れから抜け出して一人下駄箱へ向かった。

 あいつらからの仕打ちは、学年が上がって教室がばらばらになったら終わった。それからはまた同じ目に遭わないようにひたすら息を潜めて学校での時間を過ごした。楽しいことも辛いことも分からなくなった。遅刻寸前に登校して、授業が終わったらすぐに学校を出る毎日を過ごした。学校にいたくなかった。思い出は一つもない。進学が決まって、俺はこの町を離れる。

 時が経つにつれてあいつらのことを考える時間は減り、頭の中に占める割合も減っていった。それでも俺の学校での暮らしぶりは変わらなかった。それが恐ろしかった。あいつらのことが頭から消えても、何かに怯えて逃げるような生き方はこれからもずっと変わらないのかもしれない。俺はあの一年で決定的に何かをねじ曲げられてしまったのだ。

 あいつらの下駄箱に、手紙を一通ずつ入れた。どの手紙にも同じことを書いた。

 『成人式でお前を殺す』

 用事を済ませると教室に戻った。その後、どうやって家に帰ったのかは覚えていない。