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バカは死んでも治らなかった

バカは死ななきゃ治らないって言うけど、僕のバカは死んでも治らなかった。

こっちに来ても字は覚えられないし、数字も9から上がはっきりしない。

これじゃあダメだね、死にがいがないよ。

僕のバカを治そうとして僕に包丁を向けてくれたお母さんにはごめんと思う。

でも、もうこっちに来たらバカでも困らないんだ。

僕をいじめる人はいないし、勉強ができなくて怒る人もいない。

明日のことを気にしなくていいし、昨日のことも覚えなくていいんだ。

覚えてることと言えば、最後に握った包丁の手ざわり。

お母さんもこっちに来てから優しくなったんだ。 

ねえ、お母さん。筆が止まってるよ。僕が言ったこと早く書いてよ。